2013年3月31日日曜日

産業革新機構、次世代薬開発ベンチャーに出資


官民ファンドの産業革新機構は、次世代の薬として期待される核酸医薬の開発を目指すベンチャー企業に出資する。
 DNAの成分を使った最先端の新薬作りに投資するのは初めて。米国などが開発にしのぎを削っているため、医薬産業を成長戦略の柱と位置づける安倍政権の政策を後押しする考えだ。
 革新機構が出資するのは「アクアセラピューティクス」(福岡市)という企業で4億5000万円を出資し、社外取締役も派遣する。ア社は東京医科大、九州大、佐賀大と共同で開発を進める。開発段階に応じて追加出資も検討する。
 核酸医薬は、生物にとって重要な高分子である核酸の成分を合成した薬。病気の原因となるたんぱく質の製造を、細胞内の「設計図」の段階で止めることができるため、これまでにない働きで効く医薬品として注目されている。現在は米国などで開発が先行しているため、国産技術の開発を急ぎ、創薬分野で日本の国際競争力を高めるため出資する。
(2013年3月31日 読売新聞)

難病患者にも障害福祉 1日から「総合支援法」施行


130疾患と関節リウマチ患者が対象に
 障害者自立支援法を改正し、名称を改めた「障害者総合支援法」が4月1日に施行される。身体障害者手帳を持っていない難病患者も障害福祉サービスを受けられるようになることが柱。パーキンソン病やメニエール病など国が指定する130疾患と関節リウマチの患者が対象に加わる。
 難病患者は、身体機能に支障があっても症状が一定しないため、障害者手帳の取得が難しいことが多く、必要な支援が受けられない「制度の谷間」に落ち込んでいたが、これを是正する。
 総合支援法では難病患者も「障害者」と定義。外出時の移動支援や、住宅に手すりを付ける際の改修費支給などの障害福祉サービスが新たに受けられるようになる。
 サービスを受けるには医師の診断書などを示して市町村に申請。6段階の「障害程度区分」の認定を受け、区分に応じ使えるサービスが決まる。
 このほか同法では来年4月から①重い障害がある人への訪問介護を身体障害者に限っていたのを知的、精神障害者に拡大②手厚い介護が必要な人向けのケアホームを、必要度が低い人が入居するグループホームと一元化-などを予定している。
 改正前の障害者自立支援法は2006年に施行。サービス利用時に原則1割の自己負担を課すのは違憲だとして08年、全国各地で障害者が国を提訴、10年に和解が成立した。その際、原告側と国は13年8月までに自立支援法を廃止し、新法を制定することで合意していた。総合支援法について、原告側には「自立支援法と何ら変わっていない」との不満もくすぶる。
(2013年3月31日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】
参考 「障害者総合支援法の対象疾病」と「難病患者等居宅生活支援事業の対象疾患」 の対応表(疾患群別)http://www.nanbyou.or.jp/entry/3366

新出生前診断、1日から 遺伝相談重視、17施設で順次


新出生前診断、1日から 遺伝相談重視、17施設で順次


 【下司佳代子】妊婦の血液で胎児のダウン症などの染色体異常がわかる新型の出生前診断が4月1日から昭和大学病院(東京)などで始まる。17の医療機関が計画中で準備が整い次第、スタートさせる。十分な情報や知識がないまま、人工中絶につながらないよう、染色体異常や検査について説明、相談にのる遺伝カウンセリング(遺伝相談)を充実させ、慎重に進めることにしている。 検査の対象は出産時に35歳以上の高齢妊娠、超音波検査などで胎児に染色体異常が疑われる妊婦で、費用は約20万円。昭和大は、妊婦健診をしている医療施設から紹介があった場合に限って受け付ける。個人からの直接の予約は受け付けない。北大病院は2日から始める。
 この検査は採血だけで済み、妊婦の体への負担も小さいため、十分な情報がないまま中絶が広がれば、生命の選別につながりかねないとの指摘もある。
 このため、日本産科婦人科学会(日産婦)は3月、検査の条件を定めた指針を決定。遺伝相談ができることを条件に臨床研究として始めるよう、計画施設に求めた。日産婦など118の学会を束ねる日本医学会にできた認定機関が、こうした条件を満たしている施設か審査している。1日以降、認定施設名は日本医学会のホームページで公表される。
    ◇
■新型出生前診断の実施を準備している施設
北海道大、岩手医大、宮城県立こども病院、新潟大、国立成育医療研究センター(東京)、昭和大、東京女子医大、埼玉医大、横浜市立大名古屋市立大、藤田保健衛生大(愛知)、大阪大、兵庫医大、愛媛大、徳島大、国立病院機構九州医療センター(福岡)、長崎大
2013年3月31日10時10分 朝日新聞

しこりの割合本県低く 4県の子ども甲状腺検査


環境省は29日、東京電力福島第一原発事故に伴う福島県の甲状腺検査結果と比較するため青森、山梨、長崎3県で実施した甲状腺検査の詳細結果を発表した。6~18歳の各年代で小さなしこりなどがある「A2判定」(2次検査の必要なし)の割合はいずれも50%台後半で、40%台前半~50%台前半の福島県の方が低かった。
 同省が8日に発表した3県全体の速報値でも「A2判定」の割合は福島県が低く、同省の担当者は「年代別でも傾向は同じで、福島に特異な現象は見られない」としている。
 検査対象の年齢が同じで比較可能な6~10歳、11~15歳、16~18歳の各年代別では、3県はそれぞれ「A2判定」が最も多く、半数以上を占めた。福島県は6~10歳、16~18歳の年代で、しこりなどがない「A1判定」が50%を超え、「A2判定」は40%台前半だった。同省は「検査人数の違いなどを総合的に考慮すれば、数%の違いは大きな差ではない」とし、ほぼ同じ内容と分析している。
 県別では、山梨県(甲府市)の「A2判定」が69・4%で、福島県より28・2ポイント高かった。一方、長崎県(長崎市)はほぼ同じ結果だった。県県民健康管理調査室は「県民の不安解消の一助になる。ただ、甲状腺は長期的に観察する必要があり、今後も検査態勢を拡充する」としている。
 県は原発事故発生時の0~18歳の子ども約36万人を対象に甲状腺検査を実施している。13万3089人の集計を終了し、3人が甲状腺がんと確定している。同省は青森、山梨、長崎3県の3~18歳の計4365人を対象に検査した。3県全体の「A2判定」は56・6%で、41・2%の福島県の方が低かった。
(  福島民報)

岩手、定年延長し地域とともに 陸前高田の病院長


東日本大震災で患者や職員ら20人以上が亡くなった岩手県陸前高田市の県立高田病院。石木幹人院長(65)は、3月末の定年を延長し、一医師として病院に残ることを決めた。一方、父を支えてきた長女の医師、愛子さん(28)は同病院を退職し、父が取り組んできた老年医学を学ぶため、仙台市の大学院に進学する。
 震災の津波で高田病院は最上階の4階まで浸水。石木さんはスタッフや患者約160人と屋上で一晩過ごし、ヘリコプターで救助された。屋上で亡くなった患者もいる。
 「一生忘れることはない」。津波で自宅にいた妻たつ子さん=当時(57)=も亡くした石木さんは言葉少なに振り返る。
2013/03/30 16:31   【共同通信】

障害者総合支援法が4月から施行 難病患者も対象


障害者自立支援法を改正し、名称を改めた「障害者総合支援法」が4月1日に施行される。身体障害者手帳を持っていない難病患者も障害福祉サービスを受けられるようになることが柱。パーキンソン病など国が指定する130疾患と関節リウマチの患者が対象に加わる。
 難病患者は、身体機能に支障があっても症状が一定しないため、障害者手帳の取得が難しいことが多く、必要な支援が受けられない「制度の谷間」に落ち込んでいたが、これを是正。
 総合支援法では難病患者も「障害者」と定義。外出時の移動支援や、住宅に手すりを付ける際の改修費支給などの障害福祉サービスが新たに受けられるようになる。
2013/03/30 16:47   【共同通信】

インプラント 歯科医の教育の場確保を


あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療で健康被害を訴えるトラブルが相次いでいることを受け安全対策を考えるフォーラムが開かれ、歯科医師への教育の場を確保していく重要性が確認されました。
インプラント治療は「自分の歯に近い感覚が取り戻せる」として普及が進む一方、一部の歯科医師の技術が不十分なことなどから、治療後しびれや痛みが残るなどのトラブルがあとを絶ちません。
都内で開かれたフォーラムには、治療に携わる歯科医師やメーカーの代表のほか、国の担当者らが出席しました。
まず患者の救済に取り組む高梨滋雄弁護士が講演し、トラブルの背景として、歯科医師に対してメーカーが行う講習が中心で、大学ではインプラントに関する教育がほとんど行われてこなかった問題点などを指摘しました。
これを受けて出席者が意見を交わし、現在、複数の学会が協力して標準的な治療のルールを定めた指針の策定が進められていることが紹介されたほか、大学や学会、メーカーが連携して歯科医師への十分な教育の場を確保していくことなどを確認しました。
一方、学会などに所属しない歯科医師の水準をどう高めていくかといった課題も指摘されました。
高梨滋雄弁護士は「患者側が安全な医療機関を見極める目を持つことも重要なので、そのための情報提供に努めていくことが欠かせない」と話していました。

3月31日 17時57分 NHK NEWS WEB


看護師の診療行為一部可能に 床ずれ切除など


【辻外記子】医師の具体的な指示がなくても、看護師が診療の一部ができるようになる。厚生労働省の検討会が29日、「特定看護師」の報告書をまとめた。床ずれの切除や胃ろうの管の交換などが想定されている。医師がいなくても看護師が素早く対応して、早期の治療や重症化予防につながると期待される。

 「特定看護師」はモデル事業で行われてきたが、厚労省は制度化をめざす。

 看護師の仕事は法律で、診療の補助や療養上の世話と決まっている。だが明確な定義はなく、「診療の補助」の内容は施設ごとに違っていた。厚労省は3年前から、看護師が高度な医療を安全に行えないか議論を進めてきた。医師不足の解消につなげるというねらいもあった。
朝日新聞社

新型出生前診断、勧誘はがきの会社が事業を中止


妊婦の採血だけで胎児の染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前診断について、医療機関向けに検査の受託事業を案内していた東京都内の民間会社は30日、読売新聞の取材に対し、事業の中止を明らかにした。
 同社は今月中旬、全国の産科医院に「出生前健診サービス」とうたった勧誘はがきを送付。日本産科婦人科学会(日産婦)の指針では対象としない性染色体の病気も検査できるとしていた。
 これに対し、日本産婦人科医会が、産科医に対し、勧誘に乗らないよう注意を呼びかけ、日産婦も指針の順守を改めて呼びかけていた。
(2013年3月30日 読売新聞)

2027年に100万人分不足…日赤が献血PR


 献血と輸血の需給バランスが大きく崩れ、2027年に100万人分以上の血液が不足する恐れがあるとして、日本赤十字社(東京)が若者に献血を呼びかける取り組みを強めている。
 事故や病気で輸血が必要な高齢者が増える一方、若者の人口減と献血離れに歯止めがかからないからだ。
 選抜高校野球大会が開かれている甲子園球場(兵庫県西宮市)のバックスクリーン横に今月上旬、高さ約2メートル、幅約10メートルの看板が登場した。日赤の近畿ブロック血液センター(大阪府茨木市)が「若い野球ファンや球児たちに訴えたい」と年間契約した。
 看板下で観戦していた兵庫県明石市の高校1年猪飼真さん(16)は「血液が足りなくなるなんて知らなかった。これからはできるだけ協力したい」と話した。
 日赤によると、輸血用血液製剤の約85%は50歳以上の患者が使用。高齢化を踏まえた推計人口などから試算すると、輸血を必要とする人は27年に延べ549万人とピークを迎える。これに対し、同年の献血者数は、献血可能人口(16~69歳)に占める割合(献血率、09年実績5・9%)から延べ448万人と推計され、101万人分が不足する。
(2013年3月30日 読売新聞)

つくばの出産環境改善へ 筑波大と市連携…茨城


茨城県つくば市内で誰もが出産できる環境を整えるため、筑波大学と市は新年度から5年計画で、市内の周産期医療の環境改善に着手する。
 市の寄付講座を通じて医師を確保し、助産師が出産を主導しながらも緊急時に備えて必ず医師が立ち会う独自の院内助産システム「市バースセンター」を新設し、出産扱い件数を増やす。同大によると、市町村の協力で国立大学病院内に助産システムが設けられるのは全国初。講座設置に関する協定は29日、結ばれた。
 市医療環境整備課によると、2010年度、出産できる病院と診療所の合計は水戸市13、土浦市8に対し、つくば市は4と少ない。同年の出生届出件数は2210人で、4医療機関で出産したのは1339人。市外で出産した871人のうち半数近い406人が、市内の医療機関で予約が取れないことなどを市外で出産した理由に挙げている。
 市内は、つくばエクスプレス沿線の開発で今後も人口が増えると予想され、出産に対応できる医療機関の不足は大きな課題だ。具体的な改善策が求められる中で、昨年10月には、市周産期等医療体制懇談会が市に対し、施設の新設ではなく、筑波大と協議して、医師が立ち会う方式での出産システムを付属病院内に設けることを提案していた。
 筑波大付属病院は現在、重症の妊産婦や新生児の緊急治療にあたる総合周産期母子医療センターに指定されているが、新設するバースセンターでは、正常な出産のみを扱う方針。
 市は5年間で計5億1000万円を支出する予定だ。筑波大と市の合意事項のうち、ソフト面では、市が新年度から4200万円ずつ5年間で計2億1000万円を同大に寄付して講座を開くことで、講師を兼ねた常勤医師3人を確保する。講座では、卒業前後の医師や助産師を指導する。医師は全国から公募し、バースセンターは付属病院内の6床程度で始め、年150人が産めるようにするという。
 ハード面では、数年以内にバースセンター専用棟を建設する予定だ。陣痛から回復までを同じベッドで過ごせる部屋を含めた12床程度を用意する予定で、15年頃着工し17年頃の完成を目指す。完成後は年間300~400人が出産でき、市内で全員が出産できる医療態勢が整う見通しだ。市は着工に合わせて施設整備費として3億円を寄付する方針だ。
(2013年3月30日 読売新聞)

2013年3月30日土曜日

学校給食の食材、全面国産化へ…自民・高市氏


自民党の高市政調会長は30日、長崎市内で開かれた自民党の会合で、今夏の参院選公約に、全国の公立学校の学校給食用食材の全面国産化を盛り込む検討に入ったことを明らかにした。

 学校給食費の水準を現状のまま据え置く場合、年間500億円程度の国の補助が必要との試算も明らかにした。高市氏は、政府が環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を表明したことに言及したうえで、「私たちが国産品を食べる環境を作らないといけない」と指摘した。
(2013年3月30日19時02分  読売新聞)

震災1年以降 福島の「関連死」 35人全員が原発避難者

医療関係者「メンタル面の影響も」
東日本大震災から1年以上経過した後で震災関連死した福島県の35人を復興庁が調査したところ、全員が原発避難者だった。先行きの見えない長期の避難生活での死だった。自殺者も1人いた。
 震災や事故後の避難中などに亡くなった震災関連死の認定数は、宮城、岩手、福島の被災3県で2554人で、半数以上の1337人を福島が占める。本紙の調べでは福島の震災関連死者のうち、少なくとも789人は原発避難者だった(いずれも3月10日までの集計)。
 今回、復興庁が調査したのはこのうち、昨年3月11日~9月末の半年間の福島の震災関連死者。全国の関連死者40人中、35人が福島に集中していたためだ。死亡に至る経緯などを市町村や医療機関から聞き取り、分析した。
 35人は南相馬市、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村、飯舘村の8市町村の出身。50代が1人で、ほかは60歳以上だった。複数回答による死亡原因の調査では、避難所生活での肉体的・精神的疲労が5割で一番多く、避難所などへの移動中の疲労が2割だった。
 報告書で、福島県の医療関係者は「『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安や、生きがいも、希望も、生きる意欲も持てないというメンタル面の影響も大きい」と指摘している。
 医療関係者は、2011年12月~12年2月の施設での死亡率が前年同期比1.2倍となっている現状を挙げ「全体の死亡リスクがあがった。死亡は氷山の一角」とも懸念している。
 復興庁の担当者は「仮設住宅より住み心地の良い公共住宅の早期再建が必要。国として財政支援をしたい」と話している。

中日新聞

宮城医療費など減免終了


被災地特例、財政に重荷 2県は継続

 東日本大震災の被災者に対する国民健康保険や介護保険利用料などの減免措置が今月末、宮城県で打ち切られる。
 岩手県や、福島県の一部の自治体は継続する方針。震災から2年がたち、福祉支援の濃淡が出てきた。
 宮城県では、他の被災地と比べて対象者が多い。負担を肩代わりする県や各市町村の財政負担が重く、一斉に打ち切る方針。医療費だけでも、対象者は昨年10月末時点で約18万人に上り、来年度も継続するためには年間約30億円が必要になるという。
 岩手県は4月以降も、国保と後期高齢者医療制度、介護保険の加入者に対する医療費や利用料の減免措置を続ける。2013年度一般会計当初予算には4~12月の関連費約4億7000万円を盛り込んだ。
 福島県は、各市町村の意向を尊重し、継続する自治体には財政負担を続ける。新地、相馬、南相馬の3市町は、津波の被災者らの生活再建が進んでいないとして、国保については、来年3月まで自己負担免除を続ける予定。
 比較的被害が少なかった内陸部の川俣、桑折、国見の3町は、2月末で国保の自己負担免除を終了し、須賀川、白河、鏡石、天栄、棚倉、矢祭、西郷、泉崎、中島、矢吹の10市町村は今月末で打ち切る。
 原発事故で設定された警戒区域と各避難指示区域、旧緊急時避難準備区域、特定避難勧奨地点(解除済み地点も含む)の住民については、国が、加入保険の種類にかかわらず、来年2月までの自己負担免除を決めている。
(2013年3月30日 読売新聞)

受診遅れで58人死亡、調査発表 12年に25都道府県で


全日本民主医療機関連合会(民医連)は29日、経済的事情で国民健康保険(国保)の保険料が払えずに「無保険」状態になったり、保険証を持っていても医療費の窓口負担が払えなかったりして受診が遅れ、死亡した人が2012年に25都道府県で58人に上ったとの調査結果を発表した。
 民医連は、加盟する病院や診療所の計657施設に、経済的事情で受診が遅れて12年に亡くなった人の事例の報告を求め、回答をまとめた。
 受診遅れで死亡した人のうち無保険の人は22人。国保の保険料滞納で有効期間が短くなる「短期保険証」が13人、「資格証明書」が4人。
2013/03/29 17:11   【共同通信】

看護師の役割拡大を提言 厚労省検討会


厚生労働省の検討会は29日、国が定める研修を受けた看護師が医師の具体的な指示がなくても、点滴や投薬量調整など診療補助行為の一部を自分の判断でできるようにする制度の導入を提言した。医師不足を背景にした医療水準の低下を避けるため、看護師の役割を拡大するのが狙い。
 厚労省は今後、保健師助産師看護師法などの改正を目指す。
 検討会がまとめた報告書によると、一定の研修を受けた看護師が医師から個々に指示を受けなくても、あらかじめ定められた手順書の範囲で対応できるようにする。
 具体的には脱水状態の患者への点滴、血圧を下げる薬の投与量の調整などを候補に挙げた。
2013/03/29 18:31   【共同通信】

子宮頸がんなど3ワクチン、4月から定期接種の対象に

【阿部彰芳】子宮頸(けい)がんなど3ワクチンを定期接種に加える予防接種法改正案が29日、参院本会議で可決、成立した。4月1日に施行される。公的な接種になることで、重い副作用が起きた場合に手厚い補償が受けられるようになる。

 ほかに追加されるのは、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因になるインフルエンザ菌b型(ヒブ)と小児用肺炎球菌のワクチン。3ワクチンは2010年度から暫定的に公費助成されてきた。子宮頸がんは小学6年~高校1年、ヒブと小児用肺炎球菌は生後2~60カ月が定期接種の対象となる。

 子宮頸がんのワクチンを巡っては、ほかのワクチンに比べて副作用報告が多いと懸念する声がある。失神やけいれんが目立つことから、厚生労働省は「注射針を刺すことが影響している可能性がある。中止するほどの重大な懸念はない」としている。予防接種法で国の救済制度が適用されれば、針を刺すことによる健康被害も医療費や障害年金の支給対象になる。

 今回の法改正で、副作用情報を早く集めるため、医療機関に副作用の情報提供を義務づけた。

新型出生前診断、民間企業があっせん…米に検体



妊婦の採血だけで胎児の染色体の病気が高い精度でわかる新型出生前診断について、複数の民間企業が独自の検査あっせん事業に乗り出すことがわかった。
 4月にも始まる臨床研究は、十分な遺伝カウンセリングを行える施設に限定して行われるため、希望する妊婦全員に対応できそうにないことが背景にある。しかし、命にかかわる検査が商業的に行われることを問題視する声もあり、法規制を含めた議論を呼びそうだ。
 グアムや米西海岸などに提携の医療機関がある東京都内の民間会社は、現地の医師が「往診」の名目で4月下旬、短期的に来日。妊婦の採血は都内のクリニックが行う。サンプルは米国の検査会社に送られ、検査価格約35万円のほか、採血費用に2万5000円かかる。結果は10日から2週間でわかるという。

甲状腺「福島と大差なし」 3県の調査で結論



環境省は29日、東京電力福島第1原発事故による福島県の子どもの甲状腺への影響を確かめるため、比較対象として青森、山梨、長崎の3県の子どもを調査した詳細な結果を発表した。小さなしこりなどが見つかった割合は、地域別や年齢別で比べても「福島とほぼ同等か福島の方がやや低い」と結論付けた。
 3県での調査は昨年11月~今年3月、青森県は弘前市で、山梨県は甲府市で、長崎県は長崎市で3~18歳の計4365人を対象に実施。5ミリ以下のしこりや、20ミリ以下ののう胞(液体がたまった袋)が見つかった割合は、弘前市で57・6%、甲府市で69・4%、長崎市で42・5%だった。
2013/03/29 19:49   【共同通信】

震災関連死 大半は疲労やストレス原因か



東日本大震災のいわゆる震災関連死について、復興庁が、震災発生から1年を超えて福島県で死亡した35人を調べたところ、原発事故を受けた避難生活や度重なる移動による疲労やストレスで、徐々に衰弱したケースが多かったことが分かりました。
東日本大震災のあと体調の悪化などで亡くなる、いわゆる震災関連死は、震災発生から1年後の去年3月11日から半年の間でも、岩手、宮城、福島の3県で39人となっています。
特に福島県では35人が亡くなっており、減少傾向が見られないことから、復興庁が調べたところ、いずれも原発事故で避難区域に指定された市町村に住んでいて、80代が最も多い16人、次いで、60代と70代がそれぞれ6人でした。
また、死因を複数回答で調べたところ、▽「避難生活による疲労」が25人と最も多く、次いで、▽「移動による疲労」が13人でした。
さらに、震災発生直後から亡くなるまでに住居を移動した回数は、最も多い人で16回、平均でも7回で、復興庁は「避難生活や移動による疲労、ストレスなどが原因で、徐々に衰弱したケースがほとんどだった」としています。
復興庁では、今後、臨床心理士による仮設住宅への訪問など、心のケアに力を入れていくことにしています。

歯ブラシくわえたまま転倒…乳幼児事故に注意


乳幼児が歯磨き中に歯ブラシをくわえたまま転倒し、口を負傷する事故が相次いでいるとして、消費者庁と国民生活センターは28日、「歯磨き中は、保護者がそばに付き添って」などと注意喚起した。
 同庁などが全国13の医療機関から事故情報を集めている「医療機関ネットワーク」には、乳幼児の歯磨き中の事故の報告が2010年から今年1月末までに49件寄せられている。歯磨きしながら歩いていて転んだり、踏み台から落ちたりして、口の中にけがを負ったというケースで、ブラシの先端が頬やのどに突き刺さるなどして、手術や入院を要した例もあった。年齢別では、1歳児が最も多く、23件を占めた。
 同庁などが2月、0~3歳児がいる保護者1200人を対象に行ったインターネット調査では、こうした事故が起きていることを知っていた人は約30%にとどまった。

東日本大震災県内避難者の半数超、甲状腺にしこりなど 奈良民医連


 ■「継続検査が必要」
 東日本大震災の東京電力福島第1原発事故による健康被害の有無などを調べるため、奈良民主医療機関連合会は27日、県内に避難している72人に実施した健康診断の結果を公表した。甲状腺検査で、半数以上に、しこりや液体入りの袋状の「嚢胞(のうほう)」が認められたという。同会は「原発事故との因果関係は分からないが、継続的な検査が必要」としている。
 健診は、同会が昨年12月と今年1月、全額負担で実施した。受診した72人の震災当時の所在地は、福島19人▽宮城5人▽千葉7人▽東京17人▽神奈川24人。平均年齢は24・7歳。
 この56%にあたる40人に、甲状腺エコー検査でしこりなどが確認された。
 内訳は、5ミリ以上のしこりや20ミリ以上の嚢胞が12人、5ミリ以下のしこりや20ミリ以下の嚢胞が28人。
 福島県内で昨年、約9万5千人を対象にした健診では、44・2%にしこりなどが確認されている。
 小さなしこりや嚢胞は健康な人にもあるが、大きい場合はがんの可能性もあるとされる。ただ、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では、甲状腺がんが発見されたのが被爆後、最短で4~5年とされている。
 このほか健診では、「かぜをひきやすい」「頭痛がする」(各21%)や「目が疲れやすい」(16%)、「物忘れがひどくなった」(11%)などと訴える人たちもいたという。
 同会は「移ってきた人たちは経済環境や家族関係、健康の不安を抱えており、健診への公的支援や精神面など総合的な支援が求められる」としている。

子どもの外遊び促す条例成立


子どもの体力が低下している中、東京・千代田区はこれまで禁止していた公園でのボール遊びを週に1日解禁し、子どもたちに外での遊びを促すという全国でも珍しい条例を制定しました。
都心にあって官公庁や企業のビルが建ち並ぶ東京・千代田区では広い公園が少なく、これまで公園でのキャッチボールやサッカーなどのボール遊びは休憩している人の迷惑になるとして禁止されていました。
しかし、区内の小・中学生の体力調査の結果が小学生の男子を除いて全国平均を下回るなど、子どもの体力の低下が課題となっていました。
このため、千代田区は神田地区と麹町地区にある公園で週に1日、放課後の2時間、小学生以下と保護者に限ってボール遊びを解禁する条例案を区議会に提出し、28日の本会議で可決されました。
条例では子どもたちに外での遊びを促すとしていて、こうした理念を条例にするのは全国でも珍しいということです。
東京23区内では、敷地が狭いことからボール遊びを禁止している公園が多く、千代田区・子ども総務課の高橋誠一郎課長は、「子どもたちが外遊びを通じてたくましく育つよう、この条例を通じて区の理念を区民に伝えたい」と話しています。
ボール遊びは5月の大型連休明けに解禁される予定で、千代田区は今後、日にちや時間の延長などを検討するほか、ボール遊びができる公園を8か所に増やしたいとしています。

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20130328/4d953a505afa8f35b2e042ee4a3efbe0.html

JAふたば常務病死 避難先の福島のアパートで発見


JAふたば常務理事の愛沢訓(あいざわ・さとし)さん(58)=富岡町=が25日ごろ、避難先の福島市西中央の借り上げアパートで病死していたことが29日、分かった。
 JAや家族らによると、愛沢さんは25日朝、市内の勤務先に「風邪のために休む」と連絡を入れ、休暇を取った。27日になっても出勤せず、連絡が取れなかったため職員がアパートを訪れ、室内で死亡しているのを見つけたという。死因は心筋梗塞だった。愛沢さんは一人暮らし。
 愛沢さんはJAふたばの金融・共済などの信用部門を担当。避難のために全国に散らばる組合員への資金提供や貯金などの管理に力を尽くしていた。
   ◇  ◇
 愛沢さんの通夜は31日午後6時から、告別式は1日正午からともに田村市のJAたむらまごころで営まれる。喪主は父和夫(かずお)氏。
(  カテゴリー:主要 )
福島民報

東日本大震災:福島第1原発事故 甲状腺検査求め、署名添え要望書 ひたちなかの市民団体が市に /茨城


毎日新聞 2013年03月30日 地方版
 東京電力福島第1原子力発電所事故の影響を懸念する保護者らで作る市民団体「ひたちなか市 やさしく つよい 母たちの会」は29日、ひたちなか市に対して、約6520筆の署名を添えて子どもの甲状腺検査を求める要望書を提出した。
 本間源基市長あての要望書では、「低線量被ばくが子どもに与える影響については科学的に十分解明されていない」として、公費負担での原発事故当時18歳以下の子どもたちの甲状腺エコー検査などを求めている。
 同会は昨年11月に保育園・幼稚園に通う子どもを持つ保護者ら15人で結成し、市内の保育園・幼稚園に協力を求めて署名活動を続けて来た。同会によると、保護者を始め、孫を持つ祖父・祖母が積極的に署名に参加したという。
 要望書提出には同会メンバー7人が参加。広報広聴課と健康推進課の職員2人が対応した。同会代表で2児の主婦、矢次文子さん(45)は「低線量被ばくでどれだけ被ばくしたかわからないので、検査をして影響はないと証明してほしい」と訴えた。【杣谷健太】

2013年3月29日金曜日

医療総合特区のまちびらき


「総合特区」は、産業の国際競争力の向上や地域の活性化などを図るため、国が、規制緩和や税制上の優遇措置などを認める制度で、神奈川県と横浜市、川崎市は臨海部に最先端の医療の研究や新薬の開発などを行う国際的な拠点をつくる構想を共同で進めていて、おととし12月、「国際戦略総合特区」に指定されました。
指定されているのは、羽田空港に近い川崎市川崎区の殿町地区と、民間の研究所が集まる横浜市鶴見区の末広地区、それに、大学の医学部などがある横浜市金沢区の福浦地区と、国際会議場などがある横浜市西区のみなとみらいの4つの区域です。
神奈川県などはこれらの地区に最先端の研究施設や技術力の高い企業を集めて再生医療など最先端の医療分野の研究開発と産業化を進めて、雇用の拡大や地域の活性化につなげたいとしています。

http://www3.nhk.or.jp/lnews/yokohama/1056661971.html?t=1364464124021

へん平足の子が増加 屋外活動制限影響か



東京電力福島第一原発の事故のあと、屋外での活動を制限した福島市の保育園では、「へん平足」の子どもが事故の前より3倍以上増え、一時、この保育園に通う園児全体の40%を超えていたことが分かりました。
福島県内では、原発事故のあと、子どもたちの屋外での活動を制限する動きが相次ぎ、今も放射線の影響を心配して、外での遊びを控える保護者や保育園が少なくありません。
福島市の鳥川保育園は、敷地内の除染が完了したことから庭での遊びを再開しましたが、周辺の除染は終わっておらず、1日1時間以上行っていた散歩などをしていません。
この保育園が、事故から1年後の去年4月、3歳から5歳までの60人余りの園児の足を調べたところ、「へん平足」の子どもが事故の前より3倍以上増え、全体の43%を占めていたことが分かりました。
保育園では屋内での運動に力を入れてきましたが、今月の調査でもへん平足の園児の割合は32%と、抜本的な改善にはつながっていませんでした。
へん平足は病気ではありませんが、足の裏で衝撃を吸収しにくく、疲れやすくなると言われています。子どもの発達に詳しい山梨大学の中村和彦教授は、「外遊びができなかった空白の時間が発達に影響している。屋内の遊びでも運動量をさらに増やす工夫をしなければならない」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130328/k10013499771000.html

関連論文


チェルノブイリ原発事故の精神身体的影響に関する疫学調査

An epidemiological study on the psychosomatic effects of the Chernobyl nuclear power plant accident
研究課題番号:13670372

代表者

  • 2001年度~2002年度
    • 柴田 義貞
    • SHIBATA, Yoshisada
    • 研究者番号:40010954
    • 長崎大学・医学部・教授

研究分担者

    • 本田 純久
    • 研究者番号:90244053
    • 長崎大学・医学部・助手
    • 中根 允文
    • 研究者番号:80039833
    • 長崎大学・大学院・医歯薬学総合研究科・教授

研究課題基本情報(最新年度)

  • 研究期間

    2001年度~2002年度
  • 研究分野

  • 審査区分

    一般
  • 研究種目

    基盤研究(C)
  • 研究機関

    長崎大学
  • 配分額

    • 総額:2800千円
    •  
    • 2001年度:1500千円 (直接経費:1500千円)
    •  
    • 2002年度:1300千円 (直接経費:1300千円)

研究概要(最新報告)

チェルノブイリ事故が被災家族の子供に及ぼしている精神身体的影響の大きさを明らかにすることを研究目的とする。チェルノブイリ30km圏内からキエフ市に避難してきた家族の子供約4,400人のうち、1,458人(男678人,女780人)を対象に、ウクライナ放射線医学研究所と共同で、2000年および2002年の定期検診時にGoldbergのGeneral Health Questionnaire12項目質問紙(GHQ-12)と不安-抑うつ尺度を用いた精神的健康状態の調査を行い、以下の結果を得た。
1.対象者の平均(標準偏差)年齢は男15.7(1.3)歳、女15.7(1.2)歳で、ほぼ全員に診断がつけられており、扁平足および脊柱彎曲異常が41.6%ともっとも多く、胃および十二指腸の疾患、自律神経失調症および心筋症も20%を超えていた。自律神経失調症は、神経症、非精神病性精神障害、心筋症、胃および十二指腸の疾患、胆嚢・胆管の障害、偏平足および脊柱彎曲異常と有意な関連を示していた。
2.Goldbergの不安-抑うつ尺度によって「不安あり」あるいは「抑うつあり」とされた者は、それぞれ36.1%、35.8%であった。また、GHQ-12の4項目以上に反応した者は男5.8%、女10.0%であった。
3.神経症あるいは自律神経失調症のある者はない者に比し、「不安あり」「抑うつあり」とされた者、GHQ-12の4項目以上に反応した者の割合が有意に大きかった。
4.Goldbergの不安-抑うつ尺度はGHQ-12と有意に関連していたが、これら3種類の尺度と疾患の有無との関連に関するロジスティック回帰分析は、それぞれが対象者の異なる側面を描き出すことの蓋然性が高いことを示しており、両者の併用がリスク集団のスクリーニングに有用であることが示唆された。
To elucidate the psychosomatic effects of the Chernobyl accident on children of exposed families, we administered in 2000 and 2002, in collaboration with the Scientific Center for Radiation Medicine, Academy of Medical Sciences of Ukraine, Goldberg's 12-item version of the General Health Questionnaire (GHQ-12) and anxiety-depression scale to 1,458 children (678 boys and 780 girls) out of about 4,400 children whose family evacuated to Kiev from the 30 km zone of Chernobyl. The results were :
1. The mean (standard deviation) age at examination was 15.7 (1.3) years in boys and 15.7 (1.2) years in girls. Almost all children had diseases or disorders, and flat foot and curvature of spine were diagnosed in 41.6% of children and were most common. The other diseases or disorders diagnosed in more than 20% of children were diseases of stomach and duodenum, vegetative dystonia, and cardiomyopathy. A significant association was observed between vegetative dystonia and neurotic disorders, other nonpsychotic mental disorders, cardiomyopathy, diseases of stomach and duodenum, disorders of gallbladder anf biliary tract, and flat foot and curvature of spine.
2. Anxiety and depression were diagnosed in 36.1% and 35.8% of children, respectively on the basis of Goldberg's anxiety-depression scale. Children who responded to 4 or more items of GHQ-12 were 5.8% of boys and 10.0% of girls.
3. Children with neurotic disorders or vegetative dystonia were diagnosed to have anxiety or depression, and responded to 4 or more items of GHQ-12 more frequently than those without such disorders.
4. The responses to Goldberg's anxiety-depression scale and GHQ-12 were significantly correlated but the logistic regression analysis on the relationship of diseases and the responses to the anxiety and depression scales, and GHQ-12 indicated that the three scales probably depict different features of examinees suggesting the usefulness of their combined use at screening.

このページのURI

http://kaken.nii.ac.jp/d/p/13670372.ja.html

福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)


平成25年3月29日

福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果について(お知らせ)

 環境省では、福島県が行う県民健康管理調査の甲状腺検査において、約40%の方で小さなのう胞等の所見を認めている(いわゆるA2判定)ことを踏まえ、 平成24年度事業において福島県外3県の一定数の方に甲状腺の超音波検査を行いましたので、その結果について報告いたします。
福島県外3県における甲状腺有所見率調査結果

1.調査の背景・目的

福島県が行う県民健康管理調査の甲状腺検査において、約40%の方に20.0mm以下の小さなのう胞(注1)等の所見が認められています。 こうした小さなのう胞(注1)等は精密検査を必要とするものではありませんが、これらの軽微な所見も記録することとした結果、かえって住民の方の不安を招いていると指摘されています。
 このような大規模かつ精度の高い調査は世界初の試みであり、子どもでのう胞を認める頻度や、検査結果に生じうるばらつきについて、正確にはわかっておりません。
 こうした状況の中、環境省においても、住民の皆様の理解促進に役立てることを目的に、福島県外の3県の子どもを対象に、県民健康管理調査と同様の超音波検査(注2)を実施し、その結果の妥当性について、情報を提供することとしたものです。
(注1)
 充実部分を伴わないのう胞を指します。
(注2)
 この調査で実施された甲状腺超音波検査は、スクリーニング検査であり、甲状腺がんの診断を目的とした検査ではありません。

2.調査の概要

(1)実施期間

平成24年11月~平成25年3月

(2)調査委託先

NPO法人日本乳腺甲状腺超音波医学会

(3)対象地域及び調査対象者数

○ 青森県弘前市
3~5歳51人6~10歳444人
11~15歳748人16~18歳387人計1,630人
○ 山梨県甲府市
3~5歳34人6~10歳379人
11~15歳638人16~18歳315人計1,366人
○ 長崎県長崎市
3~5歳104人6~10歳452人
11~15歳609人16~18歳204人計1,369人

(4)調査方法

 県民健康管理調査と同等の水準の甲状腺超音波検査を対象者に実施。
 検査結果については、県民健康管理調査と同様の基準で判定し、調査対象地域における甲状腺ののう胞等の頻度を算出。

3.調査結果 概要

(1)全対象地域 概要

[1]判定結果別人数・割合
判定結果別人数・割合
(注3)
充実部分を伴わないのう胞を指します。
[2]判定結果別人数・割合(性・年齢別)
判定結果別人数・割合(性・年齢別)
[3]結節やのう胞を認めた人数・割合
結節やのう胞を認めた人数・割合
(注)
結節、のう胞両方の所見を認める場合には、それぞれの人数に計上しています。

(2)調査対象地域別 概要

調査対象地域別 概要
連絡先
環境省総合環境政策局環境保健部
放射線健康管理担当参事官室
直通:03‐5521‐9248
代表:03‐3581‐3351
参事官   : 桐生 康生(6375)
参事官補佐: 廣瀬 佳恵(6396)

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=16520

県外3市、年齢別も福島と同様=子どもの甲状腺検査-環境省

環境省は29日、東京電力福島第1原発事故を受けて福島県の子どもとの比較のため実施した、青森県弘前市、甲府市、長崎市の子どもの甲状腺調査について、 年齢別の結果を公表した。5ミリ以下のしこりなどがある子どもは3~5歳で約3割、6歳以上で6割弱で、福島県での検査結果と「ほぼ同様だった」と分析し ている。
 同省は昨年11月から、原発事故の影響が小さく検査体制も整っている3市で、3~18歳の計4365人を対象に、福島県と同じ甲状腺の 超音波検査を実施していた。今月8日には「福島とほぼ同様の傾向」との結果の概要を公表している。年齢別の分析は初めて。(2013/03 /29-15:10)

jijicom
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2013032900602

2013年3月28日木曜日

2.13.3.28厚生労働委員会質疑  子宮頸がんワクチンについて


茨城県東海村の甲状腺、幼児2人が要精密検査=原発事故影響考えにくい(3/28 時事通信)

茨城県東海村は28日、福島第1原発事故を受けて同村が実施している甲状腺検査の結果を公表した。検査を受けた2~6歳までの410人のうち、5歳児2人について今後の精密検査が必要との結果が出た。甲状腺に一定程度の大きさのしこりや嚢胞(のうほう)が認められたという。
 公表された結果は昨年11月5日から今年1月31日までの検査分。2人のほか98人は「経過観察」、310人は「異常なし」との結果だった。
 筑波大医学医療系の原尚人教授(乳腺甲状腺内分泌外科)によると、「原発事故の影響は考えにくく、現時点では住民に不安を与えるようなデータは出ていない」という。
 東海村には日本原子力発電東海第2原発(停止中)が立地している。

3月28日 時事通信

2013年3月27日水曜日

福島を医療、創薬の拠点とするプロジェクト 福島県立医科大が提供する患者サンプルの遺伝子解析進む


福島県立医科大が提供する患者サンプルの遺伝子解析が進んでいる。既に3千件の解析が終了
福島県を医療、創薬の拠点とする国が投資する産官学プロジェクトで、個人の遺伝子を調べ、遺伝子の情報からそれぞれの患者に合った治療を提供する「個別化医療」をがん治療で実用化する事業が本格スタートした。富山市問屋町に開発製造拠点を持つバイオ企業、ニッポンジーン(東京)が、要となる遺伝子解析を加速させている。
福島県立医科大を中心に、ニッポンジーンや大手医薬品メーカーなど多くの企業、研究機関が加わり、医療技術の革新や新薬開発に取り組む。これまで暫定的にプロジェクトが進められてきたが、2月18日にキックオフミーティングが福島市であり、本格開始となった。
現在、がん個別化医療の実施に向け、同大が提供する患者サンプルの遺伝子解析が進んでいる。既に3千件の解析が終了した。今後5年間ではさらに1万件のデータを積み上げ、精度を高めていくという。
ニッポンジーンはサンプル解析の増加に対応するため、4人だったプロジェクトの専従研究員を4月から10人に増員することにした。
[北日本新聞,2013年03月27日]

がん患者情報、国に一元化 治療向上へ自公民新法


がん治療の技術向上などを目的に、全国のがん患者に関する情報を国が一括管理することを盛り込んだ新法の素案の概要が27日、分かった。国内全ての病院に患者の氏名や治療部位、治療法などに関する情報の提供を義務付け、病院は患者の同意がなくても情報を報告できるとしているのが特徴だ。自民、公明、民主の3党は議員立法で今国会への提出を目指す。
 政府が昨年6月に発表した「がん対策推進基本計画」を受けた対応。がんの種類ごとの患者数や症状に関するデータ、生存率など幅広い情報を国が一元的に管理し、治療法の研究や薬の開発などに役立てる狙いがある。
2013/03/27 09:45   【共同通信】

2013年3月26日火曜日

脳卒中予防体制の整備と被災地の環境改善を-学会が政府に要望書

日本脳卒中学会(理事長=小川彰・岩手医科大学長)は26日、政府に対し、脳卒中予防体制の整備を求める要望書を提出するとともに、東日本大震災による生活環境の悪化によって、被災地で脳卒中の発症者が増加しているとして、環境改善などを求める声明を発表した。

 要望書では、脳卒中の患者数は現在300万人を超え、入院して治療を受けている患者は、がん疾患の1.5倍、心臓病疾患の3.5倍と指摘。寝たきりの最も多い原因であり、麻痺や認知障害などの後遺症に苦しみ、家庭崩壊にも直結し得る大きな社会問題であるとした。

 また、発症後の数時間以内の治療が予後を大きく改善するにもかかわらず、この数時間以内に専門医療機関に搬送される患者は限定的だと指摘。「これが、助かる命を失い、寝たきりの激増に拍車をかけている」として、医療や救急体制、啓発教育の充実など、行政の垣根を越えた総合的な政策を求めている。

 一方、声明では、東日本大震災から2年が経過したが、多くの被災者は仮設住宅での生活を強いられ、生活・健康環境は改善されず、脳卒中の発症が増加していると指摘。「国民病と称される脳卒中が被災地で増加することを看過できない」と訴え、政府に対し、被災者の生活・健康環境の改善などを強く要望した。【新井哉】

全国の風疹患者2千人超 大流行の恐れも


国立感染症研究所は26日、今年の全国の風疹患者数が21日までに累計2千人を超えたと発表した。全数報告の対象になった2008年以降で最多だった昨年1年間の2353人に迫る勢いで流行が拡大している。妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに心臓疾患や難聴といった「先天性風疹症候群(CRS)」が起こる可能性があるため、専門家は妊娠前のワクチン接種などを呼び掛けている。
 同研究所によると、21日現在で患者は2021人。首都圏や大阪、兵庫で目立って多く、東海や九州などほかの地域にも広がり始めた。推計で約3万9千人の患者が出た04年以来の大流行となる恐れがある。
2013/03/26 18:49   【共同通信】

2013年3月25日月曜日

サンゴ消滅も=海が酸性化、「ソフトコーラル」に―東大


3月25日(月)3時1分配信
 海の酸性化が進むほど、硬い骨格を持ちサンゴ礁を作るサンゴが減り、柔らかい「ソフトコーラル」が増えて最後は両方死滅する可能性があることを、東京大大学院理学系研究科の井上志保里さんらの研究チームが突き止めた。サンゴは今世紀末に消える可能性もあるという。24日付の英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ電子版に発表した。
 酸性化は、産業活動で二酸化炭素が排出され、海水に溶け込むことで起きる。炭酸カルシウムでできたサンゴの骨格を溶かすが、サンゴの仲間ソフトコーラルは骨が小さく、肉で覆われているため酸性化に強い。ただ、サンゴほど複雑な骨格がなく、さまざまな生物のすみかになるのは難しいと考えられている。
 研究チームは、火山活動の影響で大量の二酸化炭素が海水に溶け込んでいる沖縄県・硫黄鳥島周辺を調査。水槽で飼育実験も行い、酸性度が高いほどサンゴが育ちにくくなることを確認した。
 数字が小さいほど酸性度が高いことを示す水素イオン濃度指数(pH)が、海水の平均値8.1pHの時はサンゴがよく育った。7.8pHではソフトコーラルが主になり、7.6pHより下がると両方育たなかった。今世紀末の酸性度は7.8pH程度と予想されており、サンゴが消える可能性があるという。 

第28回日本環境感染学会 インフルエンザ発症確認前の咳に注意 すでにウイルス排出中の児童が学級内感染の感染源に

 インフルエンザの流行制御においては、感染が広がるきっかけを明確にし、それに対して重点的な対策を講じることができれば効果的だ。群馬大学大学院生体防御機構学の清水宣明氏らは、地域のインフルエンザ流行を制御する鍵の1つを握るのは小学校と考え、三重県の小学校で疫学研究を精力的に続けている。2011年シーズンに2つの小学校で行った研究からは、インフルエンザ発症とまだ認識されていないが、すでにウイルス排出量が増えている時期の児童が登校し、教室内感染の感染源となるケースが少なくないことが分かり、第28回日本環境感染学会総会(3月1~2日、開催地:横浜市)で報告した。

 「感染歴の少ない年少者が密集して長時間生活する小学校は、インフルエンザの地域流行を拡大させる場となる懸念があるが、一方で、小学校における感染制御がうまくいけば、地域流行の軽減につながる可能性が期待できる」と清水氏。小学校における感染の広がり方を把握して「どこを攻めれば、小学校を含めた地域の感染拡大を抑制できるかを明らかにしたいと考えている」。

 清水氏らがインフルエンザの疫学研究を続けているのは、三重県中部沿岸地区の小学校。児童の保護者に記録してもらった、シーズン中(12月~3月)の欠席や症状の記録などをもとに、流行動態を検討している。

 A(H1N1)pdm09のパンデミックが見られた2009年シーズンは、児童数約150人のA小学校で解析した。発症者は10月から、5年生を中心にゆっくり増えた。11月に入ってすぐ、2年生、3年生で発症者が数十人レベルまで増加した。そこで各学年で学級閉鎖が行われた。しかし、流行が収まることはなく、その後もずるずると続いた。12月に入ると、5年生、6年生で再び発症者が増加したが、その後は減少し、12月末にはほぼ収束した。ウイルス亜型はすべてA型だった。このように「学校の流行は爆発的ではなく、だらだら進む」。学校内で広がっていくというより「児童が家庭など、学校以外の場所で感染して、学校に持ち込み、少人数に感染させるが、その後一気に広がるのではなく、そこで感染の糸は一旦切れる。そして、また別の児童が学校以外の場所で感染して学校に持ち込み、少人数に感染させる。この繰り返しで、だらだらと続いていくことが推測された」という。

 今回は、新たに研究に参加した児童数約300人のB小学校を加えた2校で、それぞれ2011年シーズンにおける流行動態を解析した。まず、A小学校では、全学年で約51%が罹患した。低学年で60%とやや高い傾向が見られた。ウイルス亜型はA型、B型がほぼ半々。12月初めから、2年生、5年生などでA型発症者が徐々に増えた。しかし、約20人に達した同月半ば、突如流行が止まった。1月半ばから再び発症者が見られるようになり、その後、屋内で行われた学校行事を契機に、5年生、1年生などでアウトブレーク様の増加が認められた。1年生は学級閉鎖を行った。2月に入ると発症者は急速に減って収束した。2月末からはB型の発症者が見られ、3月に入って3年生、4年生を中心に増加し、4年生で学級閉鎖を行った。3月末までには収束した。

 B小学校では、主にA型が流行した。罹患率はB型と合わせて22%と低かった。発症者数の変動パターンはA小学校と同様、シグモイド曲線(S字)様を示した。1月初旬からA型発症者が徐々に見られるようになり、月末から2月初めにかけて、50人程度まで増加したが、2月半ばには収束した。3月に入ると、10人程度がB型を発症者したが、半ばまでにはほぼ収束した。

 欠席日数は、A小学校では5日がピークで平均5.35日。B小学校では4日が最多だったが、それより短期間で登校する児童も比較的多く、平均3.86日だった。A小学校で、欠席4日以下で登校した児童から二次感染したと考えられる罹患者はごく少数に留まった。この結果から、欠席日数が長ければそれだけ二次感染の抑制に有効というわけではないことが示唆されたという。

 発症を認識したときの症状は、2校とも、発熱以外では、「咳または喉の痛み」が8割前後、さらに「咳のみ」という児童も3~6割認められた。さらに、発症を認識した日時と症状の関係を調べると、登校した罹患児童の約4割で、学校にいる時間帯とウイルス排出時間帯が重なっており、うち約7割で咳が認められた。罹患児童の約3割に当たるこれらの児童が、教室内感染の感染源になった可能性が考えられたという。

 すなわち、高熱がないなど、発症が明らかでなかったために登校したものの、その時点ですでにウイルス排出量が増えており、咳などにより教室内の他の児童に感染させるというパターンが少なくないことが示された。発症認識前に咳があったかどうかが重要なため、清水氏は「保護者から学校に『今日は子どもを欠席させます』という電話があった際には、どんな症状がいつから見られたかを保護者に聞くようにお願いしている」と述べた。