2013年3月26日火曜日

脳卒中予防体制の整備と被災地の環境改善を-学会が政府に要望書

日本脳卒中学会(理事長=小川彰・岩手医科大学長)は26日、政府に対し、脳卒中予防体制の整備を求める要望書を提出するとともに、東日本大震災による生活環境の悪化によって、被災地で脳卒中の発症者が増加しているとして、環境改善などを求める声明を発表した。

 要望書では、脳卒中の患者数は現在300万人を超え、入院して治療を受けている患者は、がん疾患の1.5倍、心臓病疾患の3.5倍と指摘。寝たきりの最も多い原因であり、麻痺や認知障害などの後遺症に苦しみ、家庭崩壊にも直結し得る大きな社会問題であるとした。

 また、発症後の数時間以内の治療が予後を大きく改善するにもかかわらず、この数時間以内に専門医療機関に搬送される患者は限定的だと指摘。「これが、助かる命を失い、寝たきりの激増に拍車をかけている」として、医療や救急体制、啓発教育の充実など、行政の垣根を越えた総合的な政策を求めている。

 一方、声明では、東日本大震災から2年が経過したが、多くの被災者は仮設住宅での生活を強いられ、生活・健康環境は改善されず、脳卒中の発症が増加していると指摘。「国民病と称される脳卒中が被災地で増加することを看過できない」と訴え、政府に対し、被災者の生活・健康環境の改善などを強く要望した。【新井哉】