2013年3月31日日曜日

つくばの出産環境改善へ 筑波大と市連携…茨城


茨城県つくば市内で誰もが出産できる環境を整えるため、筑波大学と市は新年度から5年計画で、市内の周産期医療の環境改善に着手する。
 市の寄付講座を通じて医師を確保し、助産師が出産を主導しながらも緊急時に備えて必ず医師が立ち会う独自の院内助産システム「市バースセンター」を新設し、出産扱い件数を増やす。同大によると、市町村の協力で国立大学病院内に助産システムが設けられるのは全国初。講座設置に関する協定は29日、結ばれた。
 市医療環境整備課によると、2010年度、出産できる病院と診療所の合計は水戸市13、土浦市8に対し、つくば市は4と少ない。同年の出生届出件数は2210人で、4医療機関で出産したのは1339人。市外で出産した871人のうち半数近い406人が、市内の医療機関で予約が取れないことなどを市外で出産した理由に挙げている。
 市内は、つくばエクスプレス沿線の開発で今後も人口が増えると予想され、出産に対応できる医療機関の不足は大きな課題だ。具体的な改善策が求められる中で、昨年10月には、市周産期等医療体制懇談会が市に対し、施設の新設ではなく、筑波大と協議して、医師が立ち会う方式での出産システムを付属病院内に設けることを提案していた。
 筑波大付属病院は現在、重症の妊産婦や新生児の緊急治療にあたる総合周産期母子医療センターに指定されているが、新設するバースセンターでは、正常な出産のみを扱う方針。
 市は5年間で計5億1000万円を支出する予定だ。筑波大と市の合意事項のうち、ソフト面では、市が新年度から4200万円ずつ5年間で計2億1000万円を同大に寄付して講座を開くことで、講師を兼ねた常勤医師3人を確保する。講座では、卒業前後の医師や助産師を指導する。医師は全国から公募し、バースセンターは付属病院内の6床程度で始め、年150人が産めるようにするという。
 ハード面では、数年以内にバースセンター専用棟を建設する予定だ。陣痛から回復までを同じベッドで過ごせる部屋を含めた12床程度を用意する予定で、15年頃着工し17年頃の完成を目指す。完成後は年間300~400人が出産でき、市内で全員が出産できる医療態勢が整う見通しだ。市は着工に合わせて施設整備費として3億円を寄付する方針だ。
(2013年3月30日 読売新聞)