2013年3月30日土曜日

震災1年以降 福島の「関連死」 35人全員が原発避難者

医療関係者「メンタル面の影響も」
東日本大震災から1年以上経過した後で震災関連死した福島県の35人を復興庁が調査したところ、全員が原発避難者だった。先行きの見えない長期の避難生活での死だった。自殺者も1人いた。
 震災や事故後の避難中などに亡くなった震災関連死の認定数は、宮城、岩手、福島の被災3県で2554人で、半数以上の1337人を福島が占める。本紙の調べでは福島の震災関連死者のうち、少なくとも789人は原発避難者だった(いずれも3月10日までの集計)。
 今回、復興庁が調査したのはこのうち、昨年3月11日~9月末の半年間の福島の震災関連死者。全国の関連死者40人中、35人が福島に集中していたためだ。死亡に至る経緯などを市町村や医療機関から聞き取り、分析した。
 35人は南相馬市、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、浪江町、葛尾村、飯舘村の8市町村の出身。50代が1人で、ほかは60歳以上だった。複数回答による死亡原因の調査では、避難所生活での肉体的・精神的疲労が5割で一番多く、避難所などへの移動中の疲労が2割だった。
 報告書で、福島県の医療関係者は「『生きているうちに今の避難先から出られない』という不安や、生きがいも、希望も、生きる意欲も持てないというメンタル面の影響も大きい」と指摘している。
 医療関係者は、2011年12月~12年2月の施設での死亡率が前年同期比1.2倍となっている現状を挙げ「全体の死亡リスクがあがった。死亡は氷山の一角」とも懸念している。
 復興庁の担当者は「仮設住宅より住み心地の良い公共住宅の早期再建が必要。国として財政支援をしたい」と話している。

中日新聞