2013年5月11日土曜日

宮城 被災地で住民の健康格差


震災から2年の間に、被災地の住民の健康状態が年齢や性別によって格差が生じていることが、東北大学大学院の研究グループが行った調査でわかりました。
これは東北大学大学院の吉田浩教授の研究グループが、調査会社を通じてことし3月、岩手、宮城、福島の3つの県で480人、それ以外の都道府県の370人にインターネット上でアンケートを行った結果を分析したものです。
それによりますと、被災後2年間で健康状態が悪くなったとする人の割合は▼身体の健康で全国平均では5.9パーセントでしたが、3県では9.8パーセント、▼心の健康で全国平均では8.6パーセントでしたが、3県で13.3パーセントと、いずれも4パーセント前後高くなっています。
年齢別では、身体の健康状態について、▼3県の49歳以下では良くなったとする人が13.5パーセントで、悪くなったとする人の8.7パーセントよりも多くなっていますが、▼50歳以上では、悪くなったとする人が11.5パーセントで、良くなったとする人の5.2パーセントの2倍以上の結果となりました。心の健康状態についても同様で▼3県の49歳以下では、良くなったとする人が20.1パーセントで、悪くなったとする人の11.5パーセントよりも多くなっていますが▼50歳以上では、悪くなったとする人が16.1パーセントで、良くなったとする人の8.9パーセントよりも多い結果となり、世代間で格差が生じていました。
とくに女性の場合、被災直後に身体の健康状態が「悪い」と答えた人の割合は、全国平均の10.8パーセントに対し20.4パーセントで、心の健康状態が「悪い」と答えた人の割合は、全国平均の24.3パーセントに対し40.4パーセントと、いずれも2倍近く高くなっていて、被災地では、身体の健康も心の健康も、男性と比べて女性の方が全国平均よりも「悪い」と答えた人の割合が大きくなっていました。
東北大学大学院経済学研究科の吉田浩教授は「震災の後は男性よりも女性の方が健康を損なうリスクが高く、若い人よりも年配の人の方が回復に時間がかかる。それらを踏まえて行政は避難所の運営や心のケアなどにあたってほしい」と話しています。
05月10日 19時54分