2013年5月9日木曜日

風疹患者 4か月で5000人超


妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出るおそれのある風疹は感染の拡大に歯止めがかからず、患者数はこの4か月で5000人を超え、去年の同じ時期の34倍に上っていることが分かりました。
熱や発疹などの出る風疹は患者のせきやくしゃみを通じて広がり、妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が出るおそれがあります。
国立感染症研究所によりますと、全国で風疹と診断された患者は先月28日までの1週間で526人で、この4か月の合計で5000人を超えたことが分かりました。
これは、5年前に今の方法で集計を始めて以降、最も大きな流行となった去年の同じ時期の34倍に当たります。
特に4月以降は週に500人を超えるペースで患者が増えるなど感染の拡大に歯止めがかかっていません。
1週間当たりの患者数を都道府県別に見ると、▽大阪府が135人と最も多く、▽次いで東京都が124人など首都圏と関西を中心に全国に広がっています。
ことし風疹と診断された患者のおよそ90%は成人で、男性では20代から40代、女性では20代が多くなっています。
国立感染症研究所の多屋馨子室長は「風疹の感染拡大の勢いは全国で衰える気配がない。例年、流行のピークは6月頃なので、流行の中心となっている大人は一日も早くワクチンを接種してほしい」と呼びかけています。

感染拡大を防げるか・企業で予防接種の動きも

感染拡大を防げるか・企業で予防接種の動きも
風疹の流行拡大を防ごうと、医師に会社に来てもらい、社内で一斉に予防接種を行う動きも出ています。
東京・千代田区にあるIT企業は、会議室の一室を使って風疹とはしかの混合ワクチンを接種する場を設けました。
保健所に「巡回診療」の届け出をした医師に来てもらい、1人ずつ問診したあと接種をしていきます。
1人1万円ほどかかる費用は会社が負担するということです。
近くにある別のIT企業の社員も含め、7日だけで30人近くが接種を受けました。
ことしに入ってからの風疹の患者は5442人で、去年と同じ時期の34倍となっていて、その8割が20代から40代です。
接種を受けた40代の男性社員は「風疹がはやっていると聞いてワクチンを打ちたいと思っていたが、平日は仕事があり、医療機関に行く時間がなかった。会社で接種できるのはとてもありがたい」と話していました。
会社で接種を行った「アイ・ブロードキャスト」の上田拓右社長は「20人ほどの会社なので社員の間で風疹が広がると会社が機能しなくなる。風疹をさらに流行させないためにもワクチンを接種して予防することが重要と考えた。社内での接種は時間的にもメリットが大きいので、広まってほしい」と話しています。

感染の拡大が止まらない風疹の問題について、9日午後7時半から総合テレビで放送予定の「クローズアップ現代」で、詳しくお伝えします。