2013年4月14日日曜日

福島里帰り出産 回復傾向 放射能の不安軽減一因か


福島第1原発事故で激減した福島県での「里帰り出産」が回復しつつあることが、県産婦人科医会による県内の産婦人科系医療機関を対象にしたアンケートで分かった。原発事故から2年目の2012年4月ごろから回復傾向を見せ、会は放射能への妊婦の不安が軽減したことが一因とみている。
 県内での里帰り出産の推移はグラフの通り。原発事故から2年目(12年4~9月)は月平均80.0件で、少ない月で50件台に低迷した事故後1年間(11年4月~12年3月)から若干持ち直した。186.8件だった事故前1年間(10年4月~11年3月)には及ばないが、回復の兆しが出てきた。
 福島市の産婦人科「明治病院」では、事故後1年間は月平均2.1件で、事故前1年間の4.8件の半分以下に落ち込んだが、事故から2年目の12年10月~13年1月は4.8件まで戻した。
 千葉県鎌ケ谷市の主婦一戸友美さん(33)は今年2月、実家のある福島市の医療機関で第1子の娘を出産した。現地の病院で「切迫流産の可能性がある」と診断されて不安になり、里帰り出産を選んだ。放射能は「原発事故直後と違って放射線量は高くない」と気にしていない。
 会の幡研一会長は「原発事故直後は乳児に対する放射能の影響を気にして里帰り出産が敬遠されたが、一定期間が過ぎて不安が解消され、増加に転じたのだろう。なじみのない嫁ぎ先で産むより、親に囲まれて出産する方が妊婦の精神状態もいい」と話している。
 アンケートは12年10月、県内48の医療機関を対象に郵送で行い、22の医療機関から回答を得た。
最終更新:4月14日(日)6時10分
河北新報