2013年4月22日月曜日

病院の苦境続く スタッフ不足、ニーズ変化

東京電力福島第1原発事故に伴い、設定された避難区域。区域のすぐ外側の地域で診療に当たる病院は、スタッフ不足に加え、原発事故に起因する医療ニーズの変化から、それぞれ困難な課題を抱えている。病院関係者は現在の医療体制に不安を抱きつつ、「ここは避難区域を目の前にした『最前線』。ここで医療を維持する必要がある」と使命感を口にする。
 福島第1原発から北に約25キロの南相馬市原町区にある小野田病院には、約70人の透析患者が通う腎透析センターがある。市内で透析を扱うのはここの他に1病院だけ。
 3月末、センターで透析を担当していた腎臓内科と泌尿器科の医師計3人中2人が退職し、担当医師が1人になった。「透析患者は今後どんどん増えていくのに…」。同病院の菊地安徳院長(54)は危機感を吐露する。
 同市によると、市民のうち65歳以上の高齢者は、震災直前は26%だったが、今年4月4日時点で33%に跳ね上がった。若い世代ほど避難先から市内に戻る割合が低いことなどが要因だ。また、市内で生活する市民全体の2割を超える約1万1000人が市内の仮設住宅や借り上げアパートなどで生活。双葉郡など他の自治体からの避難者も市内におり、高齢化が進む中、避難者の健康をどう守っていくかが課題となっている。
(2013年4月21日 福島民友ニュース)