2013年4月17日水曜日

放影研 黒い雨調査データ 研究には積極公開


放射線影響研究所(放影研=広島市・長崎市)の大久保利晃理事長は11日、被爆者団体からの調査資料公開などを求める質問状に対し、「正しい計画に基づいた研究には積極的に提供する」などと回答した。
 放影研は昨年12月、原爆投下後に降った放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた約1万3000人分の調査データを分析し、「黒い雨によるがんのリスク増加は見られなかった」と発表。これを受けて3月末、広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)と県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会(高野正明会長)が、「調査資料が恣意(しい)的に使われている疑念がある」などとする質問状を提出、資料公開を求めていた。
 大久保理事長はこの日、「誰にでもデータを公開するのは、提供してくれた被爆者の本意ではない」とした上で、研究者らが計画を示し、放影研の審査をパスした場合には「積極的に(資料を)提供するのが義務だと考えている」と述べた。また、血液など数量が限られる資料の活用については、外部の研究者や有識者らによる議論が望ましいとの見解を示した。
(2013年4月12日 読売新聞)