2013年4月20日土曜日

中学の完全給食は行わず、業者弁当を2校で試行、保護者ら失望の声/平塚市

平塚市は18日、市立中学校での給食問題について、「家庭からの弁当と業者弁当販売方式の併用」を採用し、学校給食法に基づく完全給食(主食、おかず、牛乳)は行わないと発表した。3月末にまとめられた同市教育委員会の報告を是認した。これを受け市教委は、新たな業者弁当販売方式を本年度中に1、2校で試行し、14年度以降に全校に拡大する方針を示した。ただ、保護者らを中心に完全給食を求める意見が根強かっただけに、市の判断に失望の声も上がっている。

 平塚市立中学15校では現在、牛乳だけの「ミルク給食」を実施。生徒は原則として家庭からの弁当で昼食を取っている。しかし、保護者の負担軽減や栄養バランスの確保のため、弁当以外による昼食確保の必要性が問われ、市教委で検討していた。

 市教委報告では、完全給食の実施は財政上難しいと結論。家庭からの弁当と併用する業者弁当は、(1)栄養バランス確保のため栄養士による指導・助言などを行う(2)業者やメニューの選択は学校のニーズに合わせる(3)人件費などについて一部を行政負担し、価格軽減と弁当内容に反映させる(4)13年度内に1、2校で試行し、14年度以降に順次市内全校で行う-との条件で事業展開するとしていた。同様な販売方法は伊勢原市で実施しているという。

 平塚市は報告を是認したうえ、(1)心身ともに健やかに育ち、勉強や部活動などに専念できる(2)地域性も考慮し、生徒や保護者の声も聴きニーズに合ったメニューを加味(3)当日朝の注文方式-を市教委に要望した。

 市教委では今後、試行する中学や業者の選定、メニューや価格の設定などについて検討する。栄養バランスに配慮したうえ、保護者に利用しやすい価格にするため、どこまで行政負担を行うかなどが大きな焦点となる。市教委では「本年度末までには、できれば2校で試行したい」とした。

 また、学校独自に業者弁当を販売している2校、パンを販売している2校についても、新たな業者弁当販売方式の試行に伴い、販売方法の修正やニーズ調査を検討する。

 完全給食の実施を求めていた「中学校給食を実現する会」の谷容子会長は、市の決定について「子育て支援に逆行するものなので方向転換してほしい。子育て世代が選んで暮らす市になることを願う」と話した。

 ◆県内の中学校給食(12年度) 小学校と同様の単独・共同調理場による完全給食が小田原市など6市7町1村、デリバリー弁当箱方式による完全給食が海老名市など1市1町、共同調理場とデリバリー弁当箱方式の併用による完全給食が相模原市。ミルク給食が平塚市など10市5町、未実施が横浜市。ミルク給食の市町の多くと横浜市では業者弁当の販売が導入されている。