2013年4月28日日曜日

会津医療センターで内覧会 高度な専門医療を提供 地元民間病院と連携


県立の会津総合、喜多方両病院を統合し、福島医大の付属施設として設けられる会津医療センターは5月11日、会津若松市河東町谷沢に開所する。県内初となる漢方内科や、地元から要望の強い血液内科など22の診療科を備える。民間病院と連携して診察の態勢を整え、会津地方全体の医療の質向上を目指す。27日に内覧会が開かれ、医療関係者や住民が院内を見学した。

■診療
 「会津地方の住民が待ち望んでいた診療科ができる。恩恵を受ける患者は多いはずだ」。内覧会に参加した会津若松市の医療機関勤務の男性(59)は声を弾ませた。
 漢方内科は会津地方の歴史にちなんで設ける。漢方薬の原料となる朝鮮ニンジンは江戸時代、会津若松市内の御薬園で栽培され、市内などで生産が続く。同科は、さまざまな病気の患者を受け入れ、地元産の朝鮮ニンジンで作った漢方薬を処方するなどして治療に当たる。将来的には、はり・きゅうを導入する考えだ。
 会津地方は長く、白血病や悪性リンパ腫など血液の疾患の専門医が不在だった。患者は福島、郡山両市の医療機関に通院するケースが多く、血液内科が診察を開始すれば遠出する必要がなくなる。
 小腸・大腸・肛門科、整形外科・脊椎外科、糖尿病・代謝・腎臓内科など専門性の高い診療科も開設される。
 医療機器の充実も図る。会津地方は全国平均に比べて消化器系がん、呼吸器系と循環器系の疾患による死亡率が高いとされることから、最新型の内視鏡や超音波機器を備える。

■交換
 会津医療センターは、地域周産期母子医療センターに指定されている竹田綜合、重症患者に対処する3次救急医療を担う会津中央の会津若松市内の二つの民間病院と連携を深める方針だ。
 地域の医療態勢をともに検討する案もある。医師が地域内で分散することを避ける狙いからだ。それぞれが得意とする診療分野に患者を紹介し合い、機器の貸し借りも視野に入れている。
 会津若松医師会の加藤道義会長(68)は「医師の間で積極的に情報交換できれば、さまざまな症例の患者に対処でき、地域完結型医療が実現されるはず」と展望する。

■支援
 会津総合と喜多方合わせて17人だった常勤医師は、会津医療センターでは3倍近い45人程度に増える。へき地医療の支援が手厚くなると期待される。
 会津地方の医師数は人口10万人当たり159・6人で、県平均に比べ23・6人、全国平均より53・3人少ない。
 宮下、南会津の両県立病院などへの派遣数は現在、1カ月当たり延べ5、60人で、増員が検討される見込みだ。
 医師不足は全国で深刻なままで、医療過疎が改善される見通しは立っていない。関係者は会津医療センターの開所を待ち望んでいる。
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