2013年4月22日月曜日

災害時の透析円滑に 県内55機関にカード配布 県透析医会

県透析医会(熊川健二郎会長)は東日本大震災を教訓に、腎不全を抱える透析患者の治療情報を手軽に更新できる「透析カード(リライトカード)」と付属のカードリーダーを県内の希望する55医療機関に配布した。カードの全県的な普及により、災害発生時にそれぞれ透析条件が異なる患者に対して、円滑な治療を施すことができる。病歴などを自由に書き込める機能を独自に加えた。同医会は「救急搬送のときにも活用できる」と期待する。 
 これまでのシステムは透析条件を中心に定形の内容を表記するだけだった。余分な項目を省いて空欄スペースを設けたことで、感染症や服用できない薬などを表示できるようにした。 
 カードは運転免許証と同じサイズ。かかりつけの病院で内容をパソコンに書き込んだ上で保存すると、カードリーダーで表面に印字されるという。日本透析医会からの東日本大震災義援金を活用し、県透析医会は2月から随時、カードの配布を開始した。 
 同医会で災害対策担当の郡山市の援腎会すずきクリニック院長、鈴木一裕さん(46)は「患者のことが分からないと、治療も大変だった」と情報の大切さを痛感している。震災後の一昨年3月13日に病院を再開した。患者は毎週の定期的な透析が必要になるためだ。浜通りからの避難者を含め通常の2倍の約120人を受け入れた。手探りの治療になり、リスクと隣り合わせだったという。カードを持つ矢吹町の男性患者(60)は「もう『万が一』は来てほしくないが、これで緊急時を含めて安心できそうだ」とカードの配布を歓迎した。 
 同医会によると、県内には約4500人の腎不全患者がいるという。 
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