2013年4月20日土曜日

首相「最も生かしきれていない人材は女性」


安倍総理大臣は日本記者クラブで講演し、ことし6月をめどに取りまとめる経済の成長戦略に関連し、「現在最も生かしきれていない人材は女性だ」と述べ、女性が働きやすい環境を整えるため、平成29年度までに待機児童をゼロにすることを目指す考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は経済の成長戦略に関連して、「現在、最も生かしきれていない人材は女性だ。女性の活躍は成長戦略の中核をなすものであり、女性の能力を十二分に開花させることが、閉そく感の漂う日本を再び成長軌道に乗せる原動力だ」と述べました。
そのうえで、安倍総理大臣は、「待機児童は、全国で2万5000人ほどいて深刻だ。保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに、40万人分の保育の受け皿を確保して、待機児童ゼロを目指す」と述べ、これまで国の支援の対象となっていない認可外の保育施設の運営費に対する財政支援を行うことや、保育士の処遇改善にも取り組むなどして、平成29年度までに待機児童をゼロにすることを目指す考えを示しました。
また、安倍総理大臣は、今月末からロシアや中東諸国を訪問することに関連し、「エネルギーや医療システムなどの幅広い分野で、トップセールスで海外展開の動きを本格化させる」と述べ、日本が強みを持つ医療分野で海外輸出を後押ししていく考えを示しました。
そのうえで、「日本はがん治療に使われる粒子線で、世界トップレベルの技術を持っている。ロシアに粒子線でがん治療を行う施設を建設するため、日本とロシアで協力する動きが進んでいる。アラブ首長国連邦でも、世界最先端の粒子線治療が行える先端医療センターを建設する構想を推進したい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、「日本の高度な医療技術を世界に展開する母体が必要だ。来週、政府が音頭をとって、医療機器メーカーと医療機関が連携して新たな組織をつくり、国際医療協力を新たな成長の種にしていく」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、みずからが難病で総理大臣を辞職した経験に触れながら、新たな薬や再生医療などの医療技術の開発を、政府が後押ししていく考えを示しました。
そして、「日本でも再生医療などの最先端の医療技術を開発していくためには、アメリカ国立衛生研究所=NIHのような国家プロジェクトを推進する仕組みが必要だ」と述べ、「日本版NIH」の創設を目指す考えを示しました。
一方、憲法改正を発議する要件を定めた憲法96条の改正について、安倍総理大臣は、「いよいよ可能性も出て来たと思う。日本維新の会の橋下共同代表も、『憲法改正は96条からやるべきだ』と言っている。参議院選挙を通じて、96条を変える意味について議論が起こり、改正を可能にする多数を得ることができれば、さらに国民的議論は高まっていくだろうと思う。『憲法を国民の手に取り戻すためには96条を変えていく』、私はそのことが必要だと思う」と述べました。
また、来年4月に予定されている消費税率の引き上げについて、「引き上げの結果、デフレ脱却がうまくいかず、景気が腰折れし、税収が増えないということにならないよう、慎重に考えないといけない。景気を底割れさせないための工夫は考えていく」と述べました。
NHK