2013年4月19日金曜日

<ストーカー>警察庁が危険度判定リスト 年度内に全国導入

警察庁は、ストーカーの「危険度判定チェックリスト」を精神科医と連携して作成し、今年度中に全国の警察本部に導入する方針を固めた。増加の一途をたどる事案の中から、凶悪事件を起こす恐れのある人を迅速に見分ける狙いがあるほか、精神治療が必要な人については早期に専門家に受診させ、事件の未然防止を目指す。リストを考案した性障害専門医療センター代表理事の福井裕輝さん(43)は「加害者の根本治療が問題解決につながる」と話している。

 チェックリストは、ストーカー加害者を治療している精神科医の福井さんが、同庁の依頼を受けて作成。エスカレートして殺人事件などを起こした加害者の調書や海外文献を分析し、受刑者約10人とも面談した。その結果、「自己愛が強い」などの特徴がストーカーになりやすい性格として浮かんだほか、被害者からも「相手に同情しやすい」などの特徴が見つかったという。

 加害者、被害者双方の言動などについて危険度を見極める100近いチェック項目を用意し、昨年3月から全国の警察で試行を重ねてきた。最終的に三十数項目に絞られるとみられ、警察庁は評価方法や運用指針について詰めの検討中。被害を受けた人が警察に協力して加害者と自分の特徴をチェックし、総合評価で4段階に分類された危険度を基に、現場の警察官が事件化したり、カウンセリングなどの専門機関に紹介したりすることを想定している。

 こうした共通のリストを基に対応することについて、ストーカー事件で加害者を鑑定してきた長谷川博一・こころぎふ臨床心理センター長は「信頼性を担保するための検証や慎重な運用は欠かせない。犯罪を起こしていない人を犯罪者であるかのように見ないよう注意すべきだ」と話す。

 福井さんは「慎重な運用は当然」としたうえで、「重罰化だけでは止める手立てにならない。医師や臨床心理士によるカウンセリングで根本的な治療につなげるべきだ」と指摘。知識を持つ医師は少ないといい、専門施設設立も求めている。【飯田憲】