＜訃報＞佐々木高明さん８３歳＝元国立民族学博物館館長

佐々木高明・元国立民族学博物館長＝京都市中京区で２０１２年８月３０日、森園道子撮影

　「照葉樹林文化論」で東アジア文化の同質性を唱え、アイヌ民族の地位向上にも貢献した民族学者で元国立民族学博物館館長の佐々木高明（ささき・こうめい）さんが、４日、急性骨髄性白血病のため死去した。８３歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻昌子（まさこ）さん。

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　１９２９年、大阪府生まれ。京都大大学院博士課程修了。立命館大助教授などを経て、国立民族学博物館創設準備室次長となり、故梅棹忠夫さんの下で同館開設にあたった。８９年からは総合研究大学院大教授も併任した。９３年に同館２代目の館長となり、９７年退官。０３年まで財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構理事長を務めた。

　「照葉樹林文化論」は、ヒマラヤ中腹から中国の雲南高地、江南山地を経て西日本に至る東アジアの照葉樹林帯に共通の文化があるとするもの。７０年代、植物学者の故中尾佐助さん、哲学者の故上山春平さんと提唱した。９７年のアイヌ文化振興法制定にも関わった。

　主な著書に「照葉樹林文化の道」「日本文化の多重構造」「山の神と日本人」「日本文化の多様性」など。９８年に紫綬褒章、０３年に勲三等旭日中綬章受章。