2013年4月8日月曜日

ニセ薬健康被害、世界1337人…死亡424人


国際的に問題となっている偽造薬により健康被害を起こした人は、2005~10年に、世界で少なくとも1337人に上り、うち424人が死亡していたことが厚生労働省研究班の調査でわかった。
 偽造薬は、不当な利益を得るため、正規の薬に似せて販売されているニセ薬のこと。調査は、10年までに発表された英語の学術論文で、偽造薬について記載のある1608件のうち健康被害とその原因が書かれたものを分析し、把握できた25件をまとめた。
 それによると、被害の発生国は発展途上国64%、先進国36%。薬の種類は、解熱鎮痛・せき止め薬が36%と最も多く、次いで糖尿病治療薬と性機能改善薬がともに12%だった。
 把握事例の4割を占める10件が2005年以降に発生。
 具体例としては、抗がん剤の一種ベバシズマブの偽造薬で目の治療を受けた80人が急性眼内炎を起こした中国の例(10年)や、血液の凝固を防ぐ薬ヘパリンに中国産の偽造原料が使われたと見られ、785人がアレルギー反応を起こしたアメリカの例(08年)などがあった。
 今回の調査結果に国内の被害事例はなかったが、調査に当たった金沢大の木村和子教授は「偽造薬の健康被害は表面化しないものが多く、今回の調査結果も氷山の一角。日本でも最近、インターネットの個人輸入で被害が出ており、危険性をもっと認識する必要がある」と警告している。
(2013年4月8日 読売新聞)