2013年4月10日水曜日

成人診療科へ移行「12歳ごろから準備を」-小児科学会が提言案

小児期に発症した病気の診療を、大人になっても継続的に受けられる体制を構築するため、日本小児科学会はこのほど、小児期医療から成人期医療への移行に関 する提言案をまとめた。病気の種類に応じ、移行方法を3パターンに整理。移行の時期については、「計画性を持って段階的に進めてゆくべき」と指摘し、例え ば、12歳ごろから準備を始めて、患者や家族と相談しながら引き継ぎ先を選択するよう提言している。

 移行方法の1つ目のパターンは、小児診療科の専門医から成人診療科の専門医へ段階的に引き継ぐ場合。気管支ぜんそくの患者を呼吸器内科、糖尿病の患者を内分泌科、アトピー性皮膚炎の患者を皮膚科へ引き継ぐ場合を例示している。

 2つ目のパターンは、特定の臓器系統に関する先天性の疾患や障害については、小児科医が引き続き継続的に診療し、ほかの健康問題については、成人期診療 科が引き継ぐ場合。先天性脳障害に伴う脳性まひについては、小児神経科医が経過観察し、ほかの健康問題は、内科などが担うケースを想定している。

 3つ目のパターンは、成人期も引き続き小児科が診療する場合。先天性代謝異常症や染色体異常症など、成人診療科に適切な紹介先が見つからない病気を挙げ ている。ただし、「医療者は変わらなくても、患者への対応はその発達段階に応じて、小児対象のものから成人対象のものへと変えていく」ことを提言してい る。
 このパターンの場合には、▽患者の病状が悪化した時の入院先が確保できるか▽成人期に発症する生活習慣病や心血管疾患などの診断が小児科で適切にできる か―が問題になると指摘。「必要な場合に成人診療科・成人期医療からの応援が得られることが望まれる」としている。【高崎慎也】