2013年4月2日火曜日

性染色体の仕組み解明 北大大学院教授ら iPS細胞作製に期待



性別を決定するX、Yの性染色体のうち、女性が持つX染色体2本の片方が働かなくなる仕組みの一つを、北大大学院先端生命科学研究院の小布施力史(おぶせちかし)教授らの研究グループが初めて解明した。染色体異常による疾患の治療、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の効率的な作製につながることが期待される。
 科学誌「ネイチャー」の姉妹紙「ネイチャー・ストラクチュラル・アンド・モレキュラー・バイオロジー」(オンライン版)で1日、発表する。
 男性はX染色体とY染色体を1本ずつ、女性はX染色体を2本持つ。男女とも正常に生まれるためには、X染色体が持つ遺伝情報1本分だけが必要だ。
 このため女性の細胞ではX染色体1本だけが機能し、残りの1本は、元来の長いひも状から小さく折り畳まれて働かなくなることまでは分かっていた。
 詳しい仕組みや構造は明らかになっていなかったが今回、女性の働かない方のX染色体に多く存在するタンパク質「HBiX1」を発見。このタンパク質が別のタンパク質と結合してX染色体を小さく凝縮させ、機能しないようにしていることが分かった。<北海道新聞4月1日朝刊掲載>