2013年4月2日火曜日

お年寄りの口腔ケア支援 兵庫県、在宅歯科診療を推進

兵庫県は2013年度から、県歯科医師会(神戸市中央区)と連携して、医師が訪問診療する「在宅歯科診療」を推進する専門部署を同会に設ける。
 病気や障害などで通院できないお年寄りらが、口腔こうくうケア不足により、病状が悪化するケースが相次いでいることから、支援態勢を整えることにした。(東田陽介)
 県医務課によると、県内の歯科は11年度末現在2966施設で、在宅診療を手がけるのはうち1割程度。持ち運びができる専門機器の調達や、歯科衛生士ら人材確保が課題になっているという。一方、在宅患者のうち、歯科診療が必要なのに、未受診者の割合は7割に達するという厚生労働省の調査(08年)もある。
 お年寄りの生活の質向上のためには口腔ケアは欠かせない。口の中を清潔にしていないと、細菌が繁殖して肺炎につながったり、きちんと食べ物がかめなければ、消化不良や食欲減退を起こしたりと、命に関わる問題に発展する恐れがある。
 国は10年から在宅歯科診療に取り組む自治体に補助を始め、11年度時点で32府県が機器貸し出しやPR窓口の設置に取り組んでいる。県も地元歯科医師会の要望を受け、対応を決めた。
 新設するのは「在宅歯科連携室」で、県歯科医師会に委託し、設ける。同会の非常勤職員として歯科衛生士1人を配置し、在宅医療を行う歯科医の紹介や、電話で口腔ケアの指導などにあたる。
 また、県内の病院などに在宅診療の実施状況を調べて現状を把握する。県は職員の人件費やPR費用などに約400万円を計上した。県の担当者は「在宅医療の必要性は、高齢化社会の進展に伴い高まるので、早急に備えたい」としている。
(2013年4月1日 読売新聞)