2013年4月4日木曜日

女性医師の時短勤務や復職支援 東海地方の大学病院

2013年4月4日 09時11分
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 女性医師が子育てと仕事を両立できるよう、東海地方の大学病院でこの春、時短勤務制度や復職支援を充実させる取り組みが広がっている。結婚や子育 てをする人が増える30代から退職する女性医師が多く、厚生労働省は「医師不足が解消できない理由の一つ。仕事を続けるのが難しい女性医師はこうした制度 を生かしてほしい」と期待する。
 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は今月から、育児などを理由に短時間勤務を望む女性医師に対し、週 20時間または30時間勤務を導入した。通常勤務は週40時間。給料が半減しても「好きで選んだ仕事が継続できる方が大切」という声に応えた。女性医師向 けのサロンも新設。気軽に交流や相談ができるようにした。
 同病院では4年前から、子育て中の職員が1日1時間半勤務を短縮できるようにしたが、月~土曜の出勤に加え、定時に帰宅できないことも多く、退職を選ぶ女性医師が多かった。
 新制度は、毎週の勤務時間さえ満たせば自由に働ける。「子どもが寝ている夜の方が働きやすい」という人は夜勤だけの勤務も可能。脳神経外科の加藤庸子教授は「家庭も仕事も使命感を持って上手に働き、専門性と技術を高めてほしい」と話す。
 今年の医師国家試験の合格者7696人のうち、女性は2516人で32・6%を占めた。厚労省の調査では、病院や診療所で働く女性医師の割合は、29歳以下の35・9%をピークに、30代から減少していく。
  名古屋大病院(名古屋市昭和区)と愛知医科大病院(愛知県長久手市)はそれぞれ3月から、退職した女性医師のための復職支援プログラムを始めた。プログラ ム希望者の出身大学や年齢は一切問わない。まずは多くの患者とやりとりする内科外来の初診を担当し、専門の診療科へ復帰したり開業を目指す。
  10年近くブランクのある人もいるが、「学生が一人前の医者になる期間を考えれば、即戦力。患者との話し方はすぐ身につくことではない」と名大病院卒後臨 床研修・キャリア形成支援センターの平川仁尚副センター長。「女性医師が増える中で男性の理解も深まりつつある。働き方を見つめながら、医師の人生そのも のを支援していきたい」と話す。
 <女性医師の就労支援> 厚労省は2008年度から女性医師就労支援事業を開始。育児や勤務時間を相談す る窓口の設置や復職研修制度などを導入する医療機関に、地方自治体を通じて経費を補助している。12年度は愛知や岐阜など36都道府県で実施。休職した際 の代替医師の給与を半額補助したり、復職の研修指導をする医師の給与なども含まれる。医師不足で代替医師がいないなど、制度を活用できる状況にない問題も ある。
(中日新聞・柚木まり)